本文へジャンプします。


RSSを表示する



Vol.21 木山啓子さん(前編) 自立を促す支援をする

平和な国際社会作りを目指し、世界各地で起こっている紛争や災害などにより厳しい状況にある人々へ支援活動を行う国際協力NGO JEN(ジェン)の事務局長としてさまざまな活動をされている木山啓子さん。前編では、JENの活動内容や、活動のエピソードなどについてお話をお伺いしました。

――まずは国際協力NGO JENの活動内容について教えてください?

ハイチにて家を作るための資材を配布する様子
【ハイチにて家を作るための資材を配布する様子】

「自立を支える仕事をする」というコンセプトのもと、世界各地で紛争や自然災害などにより厳しい状況にある人々へ支援をしながら自立をサポートする活動を行っています。
1月に地震が発生したハイチでも緊急支援の物資を配布しているのですが、配布することを通して人々が再び自立するために頑張るのをサポートするというのがJENの活動です。学校を直したり井戸を掘ったりもしますが、それらは自立を支えるための道具であるという考え方に基づいた行動なんです。

――「自立を支える」といった理念は前からあったのですか?

配布された資材で作られたハイチの家
【配布された資材で作られたハイチの家】

元々、自立を支えるという理念はあったのですが、最初のうちは徹底できていませんでした。活動していくうちにどうしてもこれを外すことはできないっていうところに到達したっていう感じですね。
実は、最初の頃は自立をサポートしているつもりが、実際には自立につながらない支援もしたことがあります。例えば高齢独居老人である難民の方の家庭訪問プロジェクトです。私たちの出口戦略は、地元行政の行っている家庭訪問の看護士たちの活動に引き継いでもらうという考えでした。しかし、自分たちが活動できるための時間や資金を考えると自立にまでもっていくことがかなり厳しいプロジェクトをやり始めてしまったんです。

――高齢独居老人の難民の方を訪問すること自体はすごく意味があることだと思いますが…。

高齢独居老人である難民の方の家庭を訪問すること自体は大きな効果もあったのですが、引き継ぐべき相手である看護士の活動も十分に再開されないまま、家庭訪問を開始したのです。結局、300人くらいの方々は自分たちが家庭訪問をし続けながら看取る形となり、自立という観点から見るとプロジェクトは失敗と言わざるを得ませんでした。そういった経験から「自立を促さない支援をしないようにするためにはどうすればいいのか?」を考えながら活動を続けてきて今に至ったという感じです。

――その他にも海外でさまざまな支援活動をされていますが、エピソードや印象に残っていることはありますか?

JENは94年にボスニア紛争でモスレム人、セルビア人、クロアチア人の3民族が激しい戦闘を繰り広げていた旧ユーゴスラビアを拠点に難民や国内避難民の支援活動を始めました。事務所のスタッフとして現地の方を採用する際、条件として民族間の壁を作らないということを提示したところ、集まったスタッフはお互い連帯感を持ちながら本当に一つになって活動することができました。
民族の壁を越え、みんなで一致団結して支援が行えたというのはすごくうれしい出来事でした。

――NGOの派遣スタッフとして現地政府と平和活動のための交渉する機会も多かったと思いますが、「現地のスタッフ同士は民族の壁を越えて協力しあえるのにどうして戦争が起こるのか?何でわかってもらえないのか?」という思いはありませんでしたか?

「自立を支える仕事をする」と話す木山さん
【「自立を支える仕事をする」と話す木山さん】

自分たちにはどうしようもできない(戦争を止められない)という無力感はありました。ただ、交渉のときは上手く行かない場合も「何でわかってくれないんだろう」みたいなフラストレーションはありませんでしたね。
私の場合、相手に対して「何でわかってくれないのか?」と思うことより「どうしたらわかってくれるか?」を考える癖があるようです。フラストレーションではなく状況分析のための「何で」ですね。
私のサイドでもできることは必ずあるはずで、今までの経験で言うと自分にできると考えつくこと全部なんてやったことないです。考えつくことをたった3つでもやったら状況は改善されます。たぶん「何でわかってくれないんだ」と思った瞬間に問題が相手の問題になってしまうのかも・・・。
まずは自分から行動を起こすことが大切だと思っています。

――難しい状況も困難と思わず乗り切っていらっしゃるようですが、現在抱えられている課題はありますか?

まずは国際支援の活動についてまだまだ知られていないということが課題ですね。もっと言うと、質の高い支援でなければかえってしない方がいい場合もあるということが理解されていないことも課題です。
例えば、治安が悪い地域を支援せず治安のよい地域だけを支援すると、支援を受けた地域と受けない地域の格差が広がって、全体として治安が悪い地域が広がり支援できる地域が狭まってしまうという状況が起こります。その悪循環の輪をどこかで断ち切っていかなければいけない。そのためには支援を受けた地域が他の地域を支援するような広がりが必要となります。自立すれば経済活動もまわっていくようになり、その恩恵を周りの地域が受けるようになっていくわけです。だから「与えるだけの支援」は絶対にしない方がいいと考えます。

――やはり自立をサポートすることが重要になるんですね。
「知られていない」ということ以外にも課題はありますか?

「復興までには長い年月がかかる」と話す木山さん
【「復興までには長い年月がかかる」と話す木山さん】

もうひとつ。どんなに大きな被害であったとしても、すぐに忘れられるということですね。災害や紛争で被害を受けた地域が、精神的にも経済的にも自立した生活を取り戻し、社会の再生をはたすことができるようになるためにはものすごく時間がかかります。
1月にハイチで地震が発生し大きな被害が出ているわけですが、その後、2月にチリで地震が起きて、多くの方の頭の中はハイチではなくチリのことになってしまってると思うんですよね。ハイチの被害規模から推測すると、復興には5年かそれ以上の年月がかかると思われますが、3カ月も経たないうちに忘れられているようでは支援がなかなか追いつかない。ですから、忘れないでそれを伝えることも大きな課題だと思っています。

――現地に行けない私たちにできる国際協力はありますか?

すぐに始められるJENの5つのお願いというのがあります。
私たちは「今日からできる国際協力」と言ってみなさんにお願いしていることですが

1)まずは知ってください
2)そして行動してください
3)それで続けてください
4)忘れないでください
5)伝えてください

この5つがすぐにできることだと思います。好きなNGO/NPO団体を決めて、その活動を知ろうとしてみるのが第一歩ですかね。で、本当にいいと思ったら募金をしたり活動に参加してみてはいかがでしょうか。私自身は現場に行くことをぜひおすすめします。

――5つのできることはとてもわかりやすいですね。ただ、日本で生活していると、海外での出来事は遠いことに感じてしまいます。

JENの活動は主に海外で展開しています。日本じゃなく遠い外国で起きてることだから関係ないと思うかもしれませんが、海外の紛争や貧困がそのまま放置されれば、日本の経済にも影響を及ぼします。
つまり、海外の危機は日本に暮らす私たちのリスクなんだということをみなさんにぜひご理解いただきたいです。そして「知る」「行動する」「忘れない」「続ける」「伝える」の5つのアクションをみんなで起こせば、世界は必ず変えられると信じています。

今回のインタビューでは、国際支援活動において自立につながる支援が大事であること、テレビや新聞で私たちが目にする世界でおきている紛争・災害の様子や支援活動もほんの一部であることを知りました。「まずは知って行動してください」と木山さんの熱い想いを聞き、次に何でもいいので「行動すること」から第一歩を踏み出せればとあらためて思いました。後編では木山さんがこの活動行うことになったきっかけや人生観についての想いをお聞きします。

by ニフティ「想い伝え隊」木皿、宮坂、高沢

「木山啓子」さんからのお知らせ

関連サイトの紹介

●JENのホームページ
http://www.jen-npo.org/

●チャリティ・ブック・プログラム「Chabo!( チャボ )」
http://www.jen-npo.org/chabo/

●スクールサポートプログラム「BOOK MAGIC(ブックマジック)」
http://www.jen-npo.org/bookmagic/

●ハイチの緊急支援活動について
http://jenhp.cocolog-nifty.com/emergency/cat21785389/index.html


◆寄付にご協力ください◆
http://www.jen-npo.org/contribute/form01_1.php?country=s-hat&select1=0



関連書籍の紹介

木山さんの作品が収録された本をご紹介いたします

仕事ってこういうことだったのか 先輩たちが教えてくれたこと 仕事ってこういうことだったのか 先輩たちが教えてくれたこと
チーム20S5編

価格:1,365 円(税込)
ISBN:978-4-7612-6669-1
出版社:かんき出版
発行年月:2010/3/9


サラリーウーマン幸せ研究所  WORK編 サラリーウーマン幸せ研究所 WORK編
小林 由紀子編+日経WOMAN編

価格:1,470円(税込)
ISBN:4-532-16564-4
出版社:日本経済新聞社
発行年月:2006/9

コメント (0) | トラックバック (0)

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/508788/48085594

※インタビュー記事に対して、リンクおよび言及のされていないトラックバックは削除することがありますので、ご了承ください。


コメント

コメントを書く




コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。