「子どもたち一人ひとりの創造力と表現力を高めたい」という想いのもと、NPO法人CANVASを設立、現在、副理事長を務めながらデジタルサイネージコンソーシアム理事・事務局長、安心ネットづくり促進協議会 普及啓発活動作業部会 副主査なども兼任されて幅広く活躍されている石戸奈々子さん。デジタル時代の子どもたちに伝えたいこと、CANVASの活動など、具体的なお話を伺いました。
――石戸さんが副理事長を務めておられる、遊びと学びのヒミツ基地、CANVAS とは、どのような団体ですか?

楽しそうにお話される石戸さん】
「こども向け参加型創造・表現活動の全国普及・国際交流を推進するNPO」として、2002年11月にCANVASを設立しました。デジタル時代の子どもたちの創造力や表現力を育む活動を推進していきたいという想いがあり、このような活動に取り組んでいます。
具体的な活動内容は、いくつか例をあげてお話させていただきますね。例えば、こちらは、世界の子どもたちがカメラ付き携帯電話を使って4コマ写真マンガを作るワークショップです。
――4コマ写真マンガを携帯電話でですか?
はい。ユネスコに協力してもらい、東京とパリの7歳~16歳の子どもたち約40人が作品を交換し、変形し合い、互いの文化を比較しました。街や人の写真を携帯電話で撮って4コマのストーリーをたくさん作りました。東京の子どもたちが作った作品をパリに送り、パリの子は、その写真だけを見て別のストーリーを作ったり、ストーリーに合った写真を撮ったりします。日本がリードするケータイ・ネット技術と、日本が培ってきたマンガ表現とを組み合わせた取り組みで、モバイルを使った新しい表現様式やコミュニケーションを子どもに開拓してもらいたい、そのような想いを込めて実施しました。
――パリと日本の子どもたちが作る4コマ写真マンガはどんな感じでしたか?やはりそこには文化の違いがあるのでしょうか?

協力して作った4コマ写真マンガ】
実際に、開催してみて面白かったのは、ストーリーに差が出るんですね。パリの子どもは、ファンタジックな童話を描いたり、素直に風景描写をしたり、かわいらしく美しくまとめあげます。一方で、東京の子どもは、オチを付けて笑わせようとします。例えば、4コマ目のクチビルのオブジェに「キスをするのが大好き」とパリの子どもはセリフを付けるのですが、東京の子どもは「(爆弾で)女の子の口が飛んでしまいました」とします。文化の違いを子どもたちは実感するわけです。子どもたちに、新しい技術を使って、新しい表現や新しい国際コミュニケーションを拓いてもらいたい、そう願っています。
――楽しそうですね!他には、どのようなことをされてきたのですか?
同じような国際交流企画としては、日本、カンボジア、ブラジル、そしてイタリアの子どもたちをつないで、アニメ作りを行ったことがあります。まず各国の子どもたちにアニメに登場するキャラクターなどの素材のイラストを描いてもらいます。そうすると、例えば、日本の子どもが描くキャラクターの髪の毛の色は黒いし、カンボジアの子どもたちが描く家というのは立床式だったりして、それぞれ文化の違いが出てくるわけですよね。それら素材をすべての国の子どもたちに共有して、オリジナルの映像をつくってもらうのです。映像のつくり方にも文化の違いが出てきます。
――子どもたちは普段、自分が見たり感じたりすること、つまり自分たちの文化を表現しているってことですね。
そうですね。「おとコトひろば」というプロジェクトもあります。これは副題に「小中学生の作詞作曲コンテスト」と付けているのですが、コンテストをしたかったわけではなく、音楽を軸に、地域、世代を超えたコミュニティをつくりたい、子どもたちに敷居が高いと思われがちな「音楽」により親しんでもらいたい、というのが願いでした。ですので、音楽の知識や技術を競うものではなく、歌詞やメロディーを友だちといっしょに創りだすプロセスを楽しむこと、生み出した作品を広く世の中に発信することを促そうというものなのです。具体的には、子どもたちが自分の作った詞や曲を自由に投稿できるネット上の「ひろば」を用意します。「おと」と「コトバ」が出会う場です。そこでは、例えば、東京の子が詞を投稿したものに北海道の子が曲を付けてあげる。そんなコラボレーションも生まれます。もちろん、ネットだけで展開をしているのではなくて、ミュージシャンにきていただいてワークショップを開催したり、ライブを実施したり。バーチャルとリアルの活動を組み合わせています。
――この「おとコトひろば」のプロジェクトは、どんなねらいがあるのですか?

目的は三つあって、一つ目は、「音楽の敷居を下げたい」ということです。音楽は、クレヨンで絵を描くとか粘土をこねるといった表現と比べて、敷居の高い表現になってしまっています。楽器を演奏しようと思ったらたくさんの練習が必要ですし、ましてや作曲などはプロだけがやるもの、と思っている子どもが多いと思うんです。しかし、小さい頃は曲を勝手につくって、口ずさみながら買い物に行ったりしていましたよね。音楽はもっと身近な表現だったはず。それをデジタルの力を借りることによって、敷居を下げ、子どもたちの手に取り戻したい、ということです。
――なるほど。デジタルの力を利用すれば、自分には無理と思っていた作曲や演奏ができてしまうわけですね。
はい。それが二つ目のねらいです。音楽を、聴いて、演奏して楽しむだけではなく自ら創りだすものへと変えていきたいということにあります。一人ひとりが情報を作って世界に発信し、交流し、共有する時代です。コンテンツは「楽しむもの」から「創るもの」へと変わっていきます。音楽を通じて、自分で創りだし、発信することを体感してもらいたい、そう思います。この「おとコトひろば」は、かなり緩く運営をしているのですが、唯一ルールがあって、パクリはダメ、オリジナルでやろうね、ということです。一行の詞でも、ワンフレーズのメロディーでもいいから自分でつくって送ってきてね、ということです。
――情報を発信する時にはルールがあることも学べるしくみですね。
そうなんです。そして、ねらいの三つ目は、誰もが参加できるネット上のオープンな広場をつくることです。ネットを使えば、必ずしも一人で全部つくらなくてもよくなるのです。自分の詞に曲を付けてくれる人も、曲に詞を付けて、歌ってくれる人だって見つかるかもしれません。ネットの本質は、情報を誰かが一方的に発信する道路ではなくて、みんなで作っていく広場です。リアルの世界ではめぐり合うことのなかった同じ関心を持つ人々が出会い、刺激を与え、協働する空間を提供していきたいです。そして、子どもたちは、情報を持ち寄って、交換し、共有して、そして新しいアイディア・価値を生み出していきます。世界中の子どもがオンラインで同時に参加して、作曲して、演奏して。世界の子どもたちがそれぞれの土着のリズムや音色で表現し、交換してつながれば、音楽自体が変わるかもしれないと思っています。
――こういった楽しいイベントを通じて、情報やコンテンツを作って発信して、交流することを身につけられますね。
そうですね。「キッズ情報発信基地局」はまさにそういう企画で、体験を通じて情報リテラシーを身につけてもらっています。このプロジェクトは、子どもたちが、ブログ、ポッドキャスト、新聞、映像という四つのメディアを使って地域の情報を発信していく活動です。放課後に子どもたちがCANVASの事務所にきて、活動をしています。これも三つの目的があります。

一つ目は、やはり「情報を自分でつくり、発信していく力を身につけてもらうこと」。二つ目は、実際の体験を通じて「情報リテラシーを身につけてもらうこと」です。情報リテラシーと言うと幅広いですが、一つはいわゆるネチケットです。取材相手の顔写真を許可なくブログに掲載してはいけない、曲には著作権があり使う時には許可をとらないといけない、人が嫌な気持ちになることは書いてはいけない、など体験を通じて学んでもらいます。同時にメディアリテラシーも身につけてもらっています。メディアには各々特性があり、それに合わせて情報を発信していかなくてはいけないということを四つのメディアを使うことで学んでもらっています。逆に言うと自分たちが普段受け取っている情報も誰かが取捨選択しているのだということに気付いてもらいます。
――情報を作って発信するというスキルだけでなく、正しい判断力や公共心もいっしょに学んでもらうことが大切ということですね。
はい。そして、三つ目の目的は、「ICTを使った安全安心な街作りをしていきたいということ」です。今、子どもの安全安心と言うと、GPS付きの携帯電話を持たせて子どもの居場所を監視するというような方向に流れがちだと思うのですが、それは本質的な解決にはなっていないと思うんです。同じICTを使うにしても、子どもの監視ツールとして使うのではなくて、子どもたちが自分たちの住んでいる地域を見直し、地域のさまざまな世代の人と交流するきっかけのためのツールとして使うことによって、地域コミュニティを作りなおす。それが本当の意味で、街の安全安心、子どもの安全安心につながるのではないか、と思い活動しています。実際に、子どもたちからは、取材に行ったことによっていろいろな人と知り合って、これまでは接点がなかった地域の方から「いってらっしゃい」「おかえり」と言われるようになったと聞いています。これが私たちの目指していた一番の効果だと思います。
CANVASのさまざまなワークショップやイベントのお話を伺いながら、石戸さんの瞳が子どものようにキラキラ輝いているのを感じて、自分もその場でイベントに参加していたような楽しい気持ちになりました。(そんな魅力溢れるCANVASのイベントが体験できる「第6回 ワークショップコレクション」については、下のお知らせをご覧ください。)後編では、石戸さんが現在の活動を始められたきっかけや今後の抱負などについてもお話をお聞きしました。お楽しみに!
by ニフティ「想い伝え隊」大空、岩渕、有泉
![]() ―終了しました― | |
前回70ワークショップ、来場10000人を記録した、世界初のこども向けワークショップの博覧会イベント「ワークショップコレクション」がいよいよ開催間近です! *詳細プログラムはサイトから! |
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■ 開催概要![]() 会場:慶應義塾大学 日吉キャンパス 入場料:無料(一部ワークショップでは「材料費」がかかります) 出展:約80ワークショップ(詳しくは以下URLより) 対象: 参加:直接会場にご来場ください! 主催:CANVAS 共催:安心ネットづくり促進協議会 協賛:UBS証券会社、株式会社ヒューレットパッカード 後援:文部科学省、総務省、経済産業省、内閣官房(申請中) 助成:UBS「Kids in the Arts」公募助成プログラム メディアパートナー: | |
■ 事前登録すれば 抽選で Wii など豪華プレゼントがあたる!ワークショップコレクションご来場前に、ホームページで「プレゼント抽選登録」をした方には、 「プレゼント抽選登録」はこちら↓↓ | |
■ パンフレットがダウンロードできます!【外面:約3.5MB 】 【中面:約6.5MB 】 | |
■ 過去のイベントの様子以下のホームページよりご確認いただけます! 【第1回】 http://www.wsc.or.jp/history2004report.html
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【問い合わせ先】ワークショップコレクション 運営事務局 (NPO 法人CANVAS 内) | |
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