「親というのはとても心配性で、危険なことはできるだけ避けて通らせたいと思ってしまうこともあるでしょう。子どもを守るってどういうことなのか?というアドバイスができるように、親子で考える機会と情報を提供できる場を作りたい」と活動されているNPO法人子どもの危険回避研究所/横矢真理さんにお話をお伺いしました。
――「子どもの危険回避研究所」の活動について教えてください。
病気や事故、犯罪、いじめや虐待、災害、環境問題など、子どものまわりにはいろいろな危険があります。何が危険でどう防げばいいのか、また万が一被害にあった時の対応方法はどうすればいいかなど、具体的に“危険をどうやって回避すればいいか”ということを講演や出版物、サイトを通して提案しています。
――危険を回避するための研究活動ですね。
はい。1999年の6月にインターネット上の研究所として「子どもの危険回避研究所」のサイトをオープンしました。安全ではなく『危険(を回避するため)』の研究所なんです。
――今年でちょうど10周年なんですね。

そうなんです。10年前というと、子どもが危険な目にあわないためにはどうすればいいのか?っていう漠然とした不安を持ってインターネットで検索してみる方は多いけど、どうすればいいかという回避策が見つけられない。つまり、そういう情報がインターネット上に少なかった時代です。また、良い情報があっても、なかなかたどりつけなかった。
私はインターネットの前、パソコン通信の時代から、主婦のネットワークを作って活動していたいわゆる“オタク”でしたので(笑)、そんな自分の経験を活かして、インターネット上に情報が整理されたサイトを作って活動の拠点にしようと思ったんです。
――サイトを立ち上げる前にも商品研究の活動をされていたとお聞きしておりますが、具体的にはどんなことですか?
一番初めは抗菌靴下について調べてみました。今から20年近く前の話です。抗菌靴下にはどんな薬が使われているんだろうと思ったのがきっかけです。本当に効果があるのかも気になりましたね。
――どうやって調べてられたのですか?
当時はインターネットの検索なんてない時代ですから、調べるのは簡単ではありません。図書館に行くのはもちろん、あと一番のポイントは実際に試してみるということ。いろいろな種類の抗菌靴下を買ってきては家族に実際に使わせて、ばい菌の培養実験をし、その効果を自分の目で確かめたりしました。今思うとすごいパワーがあったなぁと自分ながら感心しますけど(笑)。家族もよく協力してくれました。
――研究の結果はいかがでしたか?

いろいろと調べていくうちに、当時、ヒット商品が出て類似品も多かった抗菌靴下の中には、アメリカで使用禁止になった農薬と同じ薬品を使った商品があることがわかりました。別に違法ではないのですが、ちょっと心配になりましたね。大人はまだいいとしても、赤ちゃんや子どもの製品に使われているのはどうなんだろうと思いました。製品によっては洗うと効果が落ちるものがあり、薬品が皮膚につく心配もあったからです。
――世の中のほとんどの人はそんな情報知らないですよね。
そうなんです。その時、知らないで使わせる親になりたくない。知ってて選べる親になりたい。と強く思いました。
――その他にもいろいろな商品の研究をされていますが、子育てとの両立は難しかったのではないですか?
私の活動は巻き込み型なんです。先ほどもお話しましたが、家族を巻き込んで実験しました。毎年、夏休みの時期に、子どもといっしょに研究していたって感じです。実際に、子どもからもけっこうアドバイスをもらいました。
――お子さんといっしょにですか?
ええ。ある年には子どもの上履きの研究をしました。息子が膝を痛めてしまい、膝になるべく負担がかからない上履きを履かせたいという想いからいろいろなメーカーのいろいろな種類の上履きを調べました。子どもといっしょに履物屋さんをまわって、お店の人に質問するので、すごく丁寧に上履きについて教えてくれました。何校か小学校にも行って、使っている上履きを見せてもらうこともしました。上履きの破損度調査です。そんなことを許してもらえたのは、子連れ主婦ならではの特権ですね。あとは、子どもや子どものクラスメイトの足形をとってみたり、実際にいろいろな上履きを子どもに履いて走ってもらったり。想像以上に足にあわないものを使っていましたね。同じ上履きでも幅広だったり細かったり、様々なタイプがあることがわかりましたから、子どもの足のタイプに合わせて自由に選べるようにすべきだと提案しました。
――本当に消費者の立場から調べられたんですね。
はい。消費者の視点からいろいろ調べていきました。自分の好奇心やわくわく感を満たすという目的もあったんですけど(笑)。こうやって、自分や自分の子どもをきっかけにどんどん集まってくる良い情報を、ほかの人にもお裾分けしたいという想いが生まれてきました。
――研究所を立ち上げる前も、研究者だったんですね。

家族、特に子どもの役に立つものを研究してきました。消防士さんが使うものまで含め、難燃素材はどれが一番子ども服に適しているか調べて、その素材で「子ども用防災スーツ」を作ったこともあります。研究することが根っから好きなんですね。
先日も手首の軟骨を骨折してしまい、サポーターをはめることになったんですが、どのサポーターが一番いいんだろうと思っていろいろ研究してみたり。転んでもただでは起きません(笑)。そんな調子で「子どもの危険回避研究所」の活動を広げていきました。
「私のテーマは“いつでもどこでも自由研究”」とおっしゃる横矢さん。小学生の頃は、「大地震の時にすぐ逃げられる“ジェット噴射付きランドセル”」や「災害時に安全な“ガチャポンみたいなバリア”」を作りたかったそうです。後半では、活動を初めて20年間の環境の変化や、今後の活動の抱負についてお話しいただきます。
by ニフティ「想い伝え隊」宮坂
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