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Vol.15 横矢真理さん(後編) むやみに怖がらずに立ち向かえる親子になろう!

“むやみに怖がらずに立ち向かえる親子になろう”が「子どもの危険回避研究所」のモットーと話す横矢さん。後半は、疑問や不安があれば、その正体をつきとめるという前向きな姿勢の横矢さんに最近の様子や今後の活動の抱負などをお聞きしました。

――「子どもの危険回避研究所」を立ち上げて今年で10年。その前の商品研究の期間を入れると20年近く活動をされているわけですが、子どもをとりまく環境も大きく変わってきたのではないでしょうか?

「キンダーあんぜん・やくそくかるた」と横矢さん
【「キンダーあんぜん・やくそくかるた」と横矢さん】

「危険」という観点で考えると、高層の建物が増えて、エレベーターや長いエスカレーターなどが多くなりました。子どもが使うことを意識していなかったものの事故が起きていますね。だんだん子どものことも考えられるようになってきましたが。

それから、公園などの遊具が一気に経年劣化のトラブルを起こす時期になっているのが気になります。修理がうまくいかずに逆に事故を招いた例もあります。

また、パソコンやシュレッダーが各家庭に普及しましたが、環境の変化で一番にあげられるのが携帯電話の普及です。ここまで広がるといろいろな影響がありますね。

――横矢さん自身、携帯電話についてどう思われますか?

稼ぎのない子どもが、利用料金を気にすることなく無制限に使うのはおかしいし、赤ちゃんを抱っこしながら携帯を使うというのもおかしいと思います。そうやって育てられた子どもが大人になった時、その感覚が当たり前になってしまうのが怖いと思いますね。でも、じゃあ禁止にすればいいのかというとそうではないと思います。

私も10年前くらいから使っていて、便利だし必要だと思ったので、子どもにも持たせていました。ただ、すぐに危険性に気がついたので、注意をしてきましたし、改善のためにメーカーに意見を言ったりもしてきました。子どもの環境や、年齢にあった使い方があると思うので、保護者の方がバランス良く判断されるのがいいと思います。環境や子どもの発育状況を考えて、メリットとデメリットを具体的に出して検討すべきです。

――何をどう使うか?と考えることが必要ということですか?

携帯電話も長いエスカレーターもエレベーターもシュレッダーもトラブルを巻き起こすけれど便利な面もあります。何でも排除するのではなく、うまく生活に取り入れる方法を考えると良いと思います。その時に大切なのが、新しいことには新しいリスクが生まれるという視点なんです。設計、設置、管理、使い方の全体を眺めて、良い方向に改善しなければいけません。子どもの目線にたって、事前に考えられる危険や不安要素をちゃんと洗い出して、リスクへの対策をたてておくということが必要です。

――日頃からきちんと考えておくということが重要なんですね。

安全マップについて説明する横矢さん
【安全マップについて説明する横矢さん】

私は、子どもを守るために大人がやるべきことは

 1)子どもの危険回避能力をアップさせるサポート

 2)子どもが犯罪や事故に巻き込まれにくい環境づくり

の二つだと思っています。
あと重要なのは大人と子どもがきちんと気持ちを通わせることですね。どうして危険なのか?どう行動すべきなのか?ということを、心(ハート)を込めて伝えるのが大切です。

――新しいリスクへの対応を考える時、つまり事前に対策をたてておく時に気をつけなければいけないことはありますか?

いろいろな側面から考えるということでしょうか。

「子どもの危険回避研究所」では、危険を「事故」「犯罪」「いじめ・虐待」「病気」「環境問題」「災害」の6つのジャンルに分類しています。全体をバランス良くみて考えるということが必要です。

また、親、企業、行政などいろいろな立場の人にはいろいろな考えがあり、縦割りになってしまうこともあると思います。私は、親、商品の研究者、会社員、教育委員などいろいろな立場で活動するうちに、それぞれの立場の方と共感できるようになりましたし、それぞれの立場の人が腹を割って話してくれる人脈もできました。私の活動は、それぞれの分野の専門家を目指すのではなく、良い情報を持っている多くの人をつなぐ役割を担っているのかなーと思っています。

――今までいろいろな立場で「危険回避」を考えてこられたわけですが、今やらなければいけないと考えることはありますか?

保育園や学童保育、放課後子ども教室などの安全管理は、まだ手を入れる余地がありそうです。女性が多い職場、夜遅いなど悪い条件が重なっているので、不安だという声が多く届いています。

あと、もう大人と思われている高校を卒業した直後くらいの年頃が意外に未知な危険にさらされていたりするのではと注目しています。小学校から高校までは色々な方が手を尽くされたので、少し落ち着いているのですが(それはそれで不安はありますが)、逆に上下少しまだ手薄な印象ということでしょうか。

――高校を卒業した直後くらいの年頃をとりまく危険ですか?

「ベビーカーまちあるき」をもとに作成した安全マップ
【「ベビーカーまちあるき」をもとに作成した安全マップ】

はい。高校を卒業して大人への仲間入りにあたり初めての経験することも多く、そこに危険が潜んでいるのではと。一人暮らしも増えますが、何も準備していない場合も多いのです。自分の子どもがそういう年頃なので関心がそこにいくのかもしれないですね。どんなに大きくなっても、親から見ると子どもですから(笑)

あと、大人の仲間入りをする年代は、もうすぐ親になったり、何らかの仕事についていくわけですが、その際に「子どもを守るために何ができるか」という視点を加えてもらえるということにも期待しています。

去年(2008年)の冬、東洋大のユニバーサルデザインの第一人者、川内美彦教授の3年生のプレゼミで、ベビーカーママ達を誘って駅周辺のまちあるきをさせてもらったのですが、大学生とママ達がお互いに刺激しあえてとても良い体験でした。今後に生かしていきたいと思います。

――「子どもの危険回避研究所」の今後の計画について教えてください。

今まで子どもが理不尽に危険にさらされてはいけないという想いでがむしゃらに活動してきました。ちょっとこのあたりで今までやってきたことを整理しておかないといけない時期にきたのかなと思っています。また、それを実際求められる時期に入ったと感じてもいます。何をどうやって伝えていくかの見直しです。講演内容や研修カリキュラム、教材も作りなおしています。

しかし、まずはサイトの更新をきっちりやりたいのですが、いろいろなことをやろうとすると手間と費用が発生して、そこをどう解決しようかと考えています。

――運営面での課題があるということですね。

横矢さんをサポートする副所長の廣田るり子さんと
【横矢さんをサポートする副所長の廣田るり子さんと】

「子どもの危険回避研究所」では会費をいただいていないのですが、NPOが生きていくためには費用が必要になります。そこをどう解決するかが当面の課題です。現在は、講演や講義の講師費で賄っていますが、足が出ている状況です。その問題が解決できたら、解決方法をみんなに広げる活動もしていきたいですね。

――最後にひとことお願いします。

危機管理は、豊かな生活をするための基礎になるもので、生涯教育だと思うんです。どこかで終わりではなく、悲観しすぎず、自分の問題と捉えて小さな工夫を積み重ねることの楽しさを感じてもらえるといいなと思っています。

――ありがとうございました。

危機管理の問題だけでなく、ご自身の経験から、常に世の中の先端にある問題を捉えて活動されているという印象を強く受けました。常に「なんで?」→「どうすればいい?」という視点で物事を捉えて活動される横矢さんから前向きに生きる力をいただいたように思います。今後のご活躍を期待しております。

by ニフティ「想い伝え隊」宮坂

「横矢真理」さんからのお知らせ

キンダーあんぜん・やくそくかるた キンダーあんぜん・やくそくかるた

横矢さんが監修されたカルタが2009年度のキッズデザイン賞を受賞しました

対象年齢:3歳・4歳・5歳・6歳~
文/みっとめるへん社
絵/田中なおこ
監修/子どもの危険回避研究所 所長 横矢真理
紙ケース入(14.6×9.1×高さ2.4cm)

「特定非営利活動法人 子どもの危険回避研究所」ホームページ

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