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Vol.08 山本敏晴さん(前編) 「国際社会において、今私たちができること」とは

「あなたにとって一番大切なものは何ですか」という問いを、宗教・民族・政治・生活・文化などが違う世界の人たちに投げかけたとき、その答えの違いに驚かされるとおっしゃる山本敏晴さん。医師、医学博士、写真家、国際協力師と様々な顔をもち活動されている山本さんに「国際社会において、今私たちができること」についてお伺いしました。

--医師、医学博士、写真家、国際協力師といろいろな方面でご活躍されていらっしゃいますが、一番なりたかった職業は何ですか?

最初になりたかったのはプロの将棋の棋士です。でも、プロとしての実力がなく、あきらめました。高校時代に新聞記者になりたいと思いましたが、家が開業医のため両親の反対にあいこれも断念。しょうがなく医学部に進学しました。大学時代、遺伝子治療に興味を持ち、学者になろうと一生懸命研究にはげんだのですが、実験の分野において才能がなく、これも挫折。で、結局、普通の医者になりました。30代半ばのとき、このまま一生が終わるのは嫌だ・・・と思い、昔から気になっていた国際協力をやり始めた、という感じです。

--国際協力が気になり始めたきっかけは何だったのですか?

海外で医療活動中の山本さん
【海外で医療活動中の山本さん】

12歳の時に、父親の仕事の関係で南アフリカに連れて行かれました。当時の南アフリカはアパルトヘイトがあり、人種差別を目の当たりにしました。飛行場に降りると、入り口が白人用と有色人種用に分かれているんです。白人用はものすごいキレイな赤い絨毯が敷かれていて、有色人種用はぼろぼろ。黄色人種である日本人は有色人種扱いのはずなのに、当時の日本はダイヤなどの大量の貿易相手国だったため白人用を使用することができたんです。へそ曲がりの私は、それがかえって腹立たしく思いました。 そのあと、中学2年のときに一眼レフのカメラを買ってもらい、写真を撮ることが趣味になって…、いい写真をとるために、東南アジアなどの途上国へよく行きました。人が行きたがらない場所で写真を撮ると、いい写真と評価されやすいんですよ。写真を撮るために出かけた国々で、私は国際協力団体と接する機会があり、国際協力というのがどんな活動かというのを知りました。ところが、それは・・・。現地文化を尊重せず、西洋文明を押しつけるような国際協力団体の活動を見て、こんな援助では現地に根づかないのではないか…一時しのぎにばらまかれたお金は、使ってしまえば明日には何も残らない。これでは根本的な解決にならず、未来に残る意味のある援助とは言えないのではないか?…と思うようになりました。当時はそういう援助しかやってなかったんですよね。もう20年以上前になりますけど。国際協力なんて偽善だ、絶対にこんなことやるべきではないと思ってましたね。

--最初は、国際協力について疑問視する気持ちをもたれたのですね。写真家として、いろいろなものを途上国で見てこられたようですが、レンズを通した世界で、12歳の南アフリカで受けたような衝撃はありましたか?

国際協力について語る山本さん
【国際協力について語る山本さん】
たぶん、質問とは違う意味で衝撃を受けました。アフリカには、平均寿命が35~40歳の間の国が10カ国前後あるんです。そういった国では学校がないから行かない。そうすると、言葉もしゃべれず文字も書けないんですが、みんな幸せそうに暮らしているんです。人間とはこういうものなんだ、そういう一生もあるんだなぁと思いました。一方、電気を使いまくってコンクリートのビルを建て、株を買ってマネーゲームをして、平均寿命も長い日本には、自殺者が年間3万人います。連続無差別殺人だって起こっていますよね?自然と共存しながら持続可能な世界を実現させているアフリカの国々と、日本のような国とどっちが素晴らしいんだろうと思いましたね。将来、化石燃料を使い果たした段階で、人類の文明が一気に崩壊するような事態になる可能生があります。ですので、途上国の写真を撮りながら、人間はこのままの方がいいんだ。国際協力なんて必要ないんだと考えていました。そういう意味での衝撃でした。

--国際協力は偽善だと思いながら、今は国際協力にとりくんでいる。そのあたりの山本さんの心境の変化と「国際社会において、今私たちができること」を教えてください。

シエラレオネの現地スタッフと山本さん
【シエラレオネの現地スタッフと山本さん】

私は携帯ゲーム機もインターネットも大好きです。だから、今のこの生活をやめることはできません。でも、今の生活を続けると、公害だらけになって、CO2もたくさん排出されて、化石燃料があっという間になくなります。そういう世の中を作らないためには、やはり、国際協力や経済発展など、しない方がよかったのかもしれない。学校も電気もなく、農業だけを繰り返せば、人類は何万年も持続可能だったのかもしれない、と思うこともあります。でも一方で、学校も電気も経済発展もない世界が本当にいいのか?とも考えます。このように私は矛盾だらけですが、それでいいのではないか、と思っています。物事には二面性があって、どんな行動をしても、必ず良いことと悪いことの両方が起こります。どうするのがいいのかというのは、絶対にわからないのですが、それでもその両面の是非を考え続け、さらに多くの人の意見を聞き、最善と思われることを行動にうつす、それが私の考える「本当に意味のある国際協力」の本質なんです。

次回は、NPO法人・宇宙船地球号の具体的活動内容と、「持続可能な世界」の実現に向け、今私たちができる貢献活動についてお聞きします。

by ニフティ「想い伝え隊」宮坂、小出、浦田

「山本敏晴」さんからのお知らせ


著書の紹介

「宇宙船地球号」の事務局長をされている山本さんの著書を紹介いたします。

地球温暖化、しずみゆく楽園ツバル あなたのたいせつなものはなんですか? 地球温暖化、しずみゆく楽園ツバル
あなたのたいせつなものはなんですか?

価格:1,575円(税込)
ISBN:9784097262954 小学館(2008/1)


国際協力師になるために 国際協力師になるために

価格:1,785円(税込)
ISBN:9784560031636 白水社(2007/6)


世界と恋するおしごと 国際協力のトビラ 世界と恋するおしごと
国際協力のトビラ

価格:1,680円(税込)
ISBN:4093876401 小学館(2006/6)


あなたのたいせつなものはなんですか?ーカンボジアより あなたの
たいせつなものはなんですか?ーカンボジアより

価格:1,575円(税込)
ISBN:9784097278917 小学館(2005/7)


アフガニスタンに住む彼女からあなたへ 望まれる国際協力の形 アフガニスタンに住む彼女からあなたへ
望まれる国際協力の形

価格:1,470円(税込)
ISBN:4560049688 白水社(2004/8)


世界で一番いのちの短い国 シエラレオネの国境なき医師団 世界で一番いのちの短い国
シエラレオネの国境なき医師団

価格:1,470円(税込)
ISBN:4560049629 白水社(2002/11)

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